Vol. 450(2009/4/19)

「いきもの通信」10周年
この10年を振り返る

この「いきもの通信」が始まってから10年にになりました。私のホームページはそれよりも前から存在しますが、今年はひとつの区切りとなります。
10年前の1999年といえば、ネットの回線はISDNまたは普通の電話回線(アナログ)で、ADSL普及よりも前の時代です。インターネットでの情報発信としてはホームページが当時から主流ですが、メールマガジンが普及しだしたのがこの頃です。ブログが登場するのはずっと後です。当時も今も、ホームページを最初からすべて個人で作ることはなかなか難しいものです。各種ツールが提供されているブログが普及するのは当然のことですが、「いきもの通信」では従来通りのやり方を続けていこうと思います。

さて、今回は「いきもの通信」のバックナンバーからこの10年を振り返ってみたいと思います。


初期の「いきもの通信」を見直してみると、現在につながるテーマが既に登場しています。
例えば東京のカラス問題は
Vol. 13(1999/8/1) [今日の事件]東京都、ゴミの早朝回収を試行/都会のカラス退治は成功するのか?

東京都23区のタヌキについては
Vol. 15(1999/8/15) 求む!東京23区タヌキ情報

で取り上げています。現在ではいろいろな調査研究の結果を出した東京タヌキも、当時は五里霧中の状態でした。しつこく追い続ければ成果が得られる、というのが東京タヌキの研究ですが、それでもここまで来るのに10年もかかってしまいました。

「東京タヌキ探検隊!」が初めて登場するのは

Vol. 298(2006/1/8) [東京タヌキ探検隊!]リトルネイチャーを探して

です。この時は「いきもの通信」の中のコンテンツのひとつでした。
独立して「tokyotanuki.jp」に引っ越したのは2007年9月、つい最近のことなのです。

動物がからむさまざまな事件、「動物事件」も当時から取り上げています。例えば
Vol. 17(1999/8/29) [今日の事件]死んだ動物への償いは/動物殺し事件相次ぐ
Vol. 18(1999/9/5) [今日の事件]1000万円のオオクワガタ/クワガタムシ・ブームの行き着く先は
Vol. 22(1999/10/10) [今日のいきもの]ワニガメ/すぐ近くにいるかもしれない巨大ガメ
Vol. 27(1999/12/19) [今日の事件]「ブラックバス駆除を止めろ」と脅迫状/ブラックバスを駆除しなければならない理由
などです。外来生物法が施行されたのは2005年ですが、それよりもずっと前から取り上げていたのです。

ちなみに現在でもアクセスが常に上位の記事がこれです。
Vol. 48(2000/6/4) [今日の観察]楽しいハト観察 その2 ハトの交尾を観察する

9年も前の記事に今もアクセスされ、リンクもされるというのは実はあまりうれしいことではありません。昔の記事はもはや古い情報であり、新しい記事こそ読んでほしいものです。

こうして見ると、最初の2年ほどで主要なテーマが既に登場しているわけで、10年間一貫した内容をお届けできているのではないかと思います。


この10年間にはいろいろな動物事件がありました。
2001年、東京都は石原知事の指示でカラス対策に取り組み始めます。しかしその中心はカラスを捕まえて殺すという効果も判然としないものでした。この方法には私は当初から反対しています。
関連の記事は以下にまとめてあります。

東京カラス問題 関連情報

最近ではまったく話題にならなくなりましたが、カラスの捕獲は今も続いています。おそらく石原知事が知事でいる間は続けられるでしょう。このような愚策がはやく終わることを祈るばかりです。

アゴヒゲアザラシの「タマちゃん」が現れたのは2002年の夏でした。これも以下にまとめページがあります。

タマちゃん 関連情報

「タマちゃん事件」は私から見れば非常に不可解なものでした。なぜアザラシにあんなにたくさんの人が押し寄せ、さらに無許可捕獲までしようとしたのでしょう。

外来生物法が施行されたのは2005年でした。その当時の記事として以下を挙げておきます。

Vol. 257(2005/2/6) [今日の事件]解説・外来生物法 その1・法律の概要
Vol. 258(2005/2/13) [今日の事件]解説・外来生物法 その2・「特定外来生物」「未判定外来生物」の中身は?
Vol. 259(2005/2/20) [今日の事件]解説・外来生物法 その3・まだまだたくさんいる「要注意外来生物」、例えばミシシッピアカミミガメの事情

外来生物の問題は現在も解決されていません。一時期盛り上がっても、すぐにしぼんでしまうという傾向はよくありませんね。

2005年は「レッサーパンダが2本脚で立った」ということがニュースになりました。これも私から見ると不可解です。

Vol. 271(2005/6/12) [今日の事件]「レッサーパンダが立ったらなぜ事件になるのか?」事件

この後はあまり動物事件を取り上げなくなっていますが、事件がなかったわけではなく、過去の事件の類似がどうしても多くなり、内容が重複しがちになったためです。

最近の大きな事件は「神田川タヌキ落下事件」でしょうか。

Vol. 445(2009/2/22) [東京タヌキ探検隊!・今日の事件]神田川タヌキ落下事件・その
Vol. 446(2009/3/1) [東京タヌキ探検隊!・OPINIIION]神田川タヌキ落下事件・その2/動物河川落下事件対策の提案


「いきもの通信」は10年、450回も続いてきましたが、まだまだネタは尽きません。動物の世界は有限ですが、その中身は無限大にも思えるほどの広大なものです。動物学も生物学も「終わってしまった学問」などではなく、未知の領域が果てしなく残っています。東京タヌキでさえいろいろとわかってきたのはつい最近のことなのですから。
「いきもの通信」は今後も続きます。引き続きご支援ご愛読よろしくお願いします。


さて、この10年で私が著者になった本もいくつか出ました。イラスト担当のものも含め紹介しましょう。リンク先はAmazonのページにしてあります。

●「動物の見つけ方、教えます! 都会の自然観察入門」(数研出版)

宮本の第1作。文章も写真もイラストも宮本がすべて担当しています。

●「タヌキたちのびっくり東京生活 都市と野生動物の新しい共存」(技術評論社)

東京タヌキの本です。
共著ですが文章パートはすべて宮本が書いています。

●「外来水生生物事典」(柏書房)

共著になっていますが、宮本が文章を書いた部分はほんのちょっとだけです。イラストは宮本が描いています。

●「シンカのかたち 進化で読み解くふしぎな生き物」(技術評論社)

これはイラストを担当した本です。

この他にもイラスト(動物イラスト)を担当した書籍・雑誌があります。詳細は「」をご覧ください。
だいたい年1冊のペースで執筆かイラストをやっていることになります。今年2009年も1冊が刊行される予定です。現時点で第1稿が完了しています。ご期待ください。


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